2017年8月26日土曜日

[銘柄分析](9511)沖縄電力(東1)(沖縄銘柄最終回)



皆さん今晩は。河童です。
沖縄銘柄分析も最終回を迎えました。

一部の大企業が幅を利かせて地域独占・寡占戦略をとり続けているというのが、一連の沖縄銘柄の分析結果となっていますが、最終回の銘柄はその意味で最終回にふさわしい沖縄地域独占の王者「沖縄電力」です


まず、前提として電力株が安全安心銘柄でないということを最初に述べておきます。電力株は市場環境によってもろに影響を受けます。勿論売上は安定していますが、電気を作るのには石油や石炭、LNGといった燃料が必要です。原油価格下落といったニュースが昨年あったと思いますが、燃料はここ10年ほどで変動幅が大きくなっており、それにあわせて、電力会社の利益の触れ幅が大きくなっています。

電力株を年金にするといった安全安心神話は、昔の原子力発電が夢のエネルギーという認識だった時代や、原油価格が安定していた時代に作られたユートピア的な発想でしょう。



[事業概要]

沖電は、沖縄県の本島と離島に対して電力を供給している会社です。沖縄が日本に返還されたときに民営化され、現在まで継続して事業を行っています。
発電割合は、石炭・LNG・石油で95%を占めており他の電力会社とは異なり原子力発電所は保有していません。そのため、これらの燃料価格の推移によって利益が変わってきます。


(出典:経営参考資料集平成29年3月期 13ページ)

[成長ストーリー]


(出典:有価証券報告書より作成)


(出典:有価証券報告書より作成)

成長の上限となる売上高は横ばいが続いています。また、利益は原油価格や石炭価格の変動に引きづられて営業利益、純利益ともに低調な動きが続いています。利益のキャップとなる売上の成長は今後10年は人口増や観光客増を見込んでも微増から横ばいが続きそうなので、利益も燃料価格に対してボックスの中で変動していきそうですね。



また、ROEも3.69%と低調です。沖縄県は島と島の距離が離れているため、島単位で発電所が必要です。そのため規模のメリットが働きにくく、低調な利益率となっています。ただ、そうした公共事業的な側面が強いため、政府から燃料税等は税制面でメリットを受けていますが焼け石に水程度ですね。


[事業環境]

今後の成長については、ストーリはありません。不景気に対する強さですが、上でも述べているように不景気と利益については相関が少ないです。逆に投資マネー流入によるコモディティ価格の変動による利益推移に気をつける必要があります。


最後に競争環境についてですが、沖縄で独占的な地位を占めているため10年は安泰でしょう。電力自由化といっても今のところ既存の電力会社から乗り換えは進んでいませんしね。



[結論]


今期の予PER23.1倍なので高めの印象を受けます。また、燃料価格の変動による影響で利益の幅が大きくなるため、配当目的でも現株価では購入に踏み切るのは難しいと思われます。原料の値上げによる利益が圧迫されたときに購入し、価格下落が起きたことによる利益増加のタイミングで売る景気循環型の投資に向いている銘柄のようです。


[雑記]


沖縄銘柄分析がようやく最終回を迎えました。こうやって、自分の知らない銘柄を見ていくときわめて勉強になりますね。実際に沖縄の人に会社の印象を聞きながらだと、普段とは違った視点から会社を見ることができました。皆さんも、他のブログであまり照会されていない銘柄をIRからじっくり分析すると、中々楽しいものがありますので是非TRYしてみてください。


沖縄銘柄分析にお付き合いいただきありがとうございました。次回からは自分が気になった銘柄を分析したいなと思います。


※当ブログに掲載されている内容は、個人的見解に基づくものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではありません。当ブログの記事に基づいて投資を行い損失が発生した場合にも当方は一切の責任を負いません。投資はご自身の判断と責任で行って頂きますよう、お願い申し上げます。

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