2017年9月27日水曜日

[銘柄分析](9466)アイドママーケティング(東1)

河童です。
今回は中小企業ファンドの銘柄を見ていて気になった銘柄であるアイドママーケティングの分析をしていきたいと思います。


[事業概要]


アイドママーケティングは、スーパーやドラッグストアの販促を支援する会社です。普通はチラシや広告の請負をイメージしますが、販売促進の企画提案から折り込み広告の作成まで一連の業務を請け負っています。小売店の販売促進におけるアウトソーシングの受け皿となっている会社です。


[成長ストーリー]


 


売上高は毎年約10%増加しています。経常利益はやや上下動があるものの年率で15%弱の成長があります。ただ、最近は成長が鈍化している傾向が見られます。

アイドママーケティングの売上に対する成長戦略としては、①既存顧客の深化、②新規顧客の開拓、および、③新規事業の3つのパターンが考えられます。


①既存顧客の深化

この会社の売上は大きく偏っています。売上の54.0%は、東海・北陸地方で中堅スーパー・ドラッグストアを経営するバローに対してです。次に割合が大きいのは、売上の11.2%を占めるライフコーポレーションです。

マイナビのHPを確認すると、主な取引先にバロー、ライフコーポレーション、中部薬品、エコス、マルヨシセンター、サンエーと記載されています。上記順番から推測するに売上順のようです。また、有価証券報告書のリスクに記載されていないことを考えると売上の10%未満で中部薬品、エコス、マルヨシセンター、サンエーと取引していると推測されます。

バローのように積極的に出店しているスーパーが顧客にいる一方で、バローほど売上の割合はありません。おそらく、他の顧客では既にそうしたマーケティングや販売促進活動をおこなう部署が存在し、活動しているためでしょう。どの程度、上流工程に食い込めているのか良く分からないため、単に下請けレベルなのではないかと心配になります。

バローほど売上が上がるのが例外と考え、顧客の成長に合わせて、売上が増えていく程度と保守的に見たほうがよさそうです。


②新規顧客の開拓

新規顧客の開拓は、問題なく行われていくと思います。決算資料をみると、福岡や盛岡等で新規案件があるようです。また、スーパーマーケット、ドラッグストアに対して、独特のサービスを持っていることから競争力もあります。今後も継続して成長していくと思われます。

新規顧客1社あたりの売上について考えて生きます。バローを除くと、1社あたりの売上シェアが5%ぐらいと想定されます。新規顧客が1社増えるごとに3.5億円売上が増えていきますね。1年に一社のペースで顧客が増えていく程度と考えておくと無理な拡大ペースではなさそうです。


③新規事業

ダイレクトマーケティングに向けたアプリ「CASH BACK」について。Google Playのダウンロード数は、5000~10000、Apple Storeでも同じぐらいだと考えると、10000~20000のダウンロード数と思われます。この中でアクティブユーザが2割として2000~4000人ぐらいが活動していると見込んでいます。

実際にダウンロードをして試してみると、ややもっさりしている感じはあるものの使い勝手はそこまで悪い感じではありません。ポイントの還元率はそこそこありそうです。ただ、ポイント対象商品を探すのがやや面倒なので、ポイントを集めることが好きでないと、やる気はおきません。また、普段時間がない人にも向いていない気がします。

ある程度ビジネスにはなりそうですが、利用者数が少なく、これだけで従来のビジネスに匹敵するレベルになるのは厳しいと思います。

以上より、①、②の既存ビジネスについては、成長予測どおり年5~6%ほどの成長と考えて問題なそうです。③については、期待せず、開発費とトントン程度となればいいのではないでしょうか。


[事業環境]



今後の成長

今後も安定してゆっくりと成長していく形になると思います。市場規模は2500億としても、売上は75億程度なので、今後も成長する余地は大きく残されていると思われます。


②不況耐性

問題ないと思います。スーパーマーケットやドラッグストア自体が不況に強く、また、ストック型のビジネスなので、不況への耐性は十分です。

③競争環境

単なる業務委託ではなく、マーケティングや販売促進といった点まで食い込んでいるのであれば、すぐに他の企業に乗り換えるにはコストがかかるでしょう。また、業界も特化しているため、ニッチ水槽の巨大魚を目指していますね。上手く需要を掘り当てている印象です。

【結論】


スーパーマーケットやドラッグストアに特化した形で、マーケティングや販売促進を行っている。この業務を内製化し、一気通関のサービスを提供していることが強みで独特の地位を築いている。そのため、今後も新規顧客は増えていく可能性が高く、緩やかな成長が続くと思われる。

ストック型のビジネスである一方で、既存顧客への売上はバローに集中している点はリスク。また、バローよりも規模が大きい顧客がいるにも関わらず、売上比率が低い理由が不明であり、実は下請け程度なのではと疑念も多少がある。あと、資金の使い道がアプリ開発となっているが、どの程度ビジネスになるのか不明。

上記を加味するとPER14台は、フェアバリューと思われる。2~3年以内にPERが低下する機会があったら購入しても良い銘柄かと思う。

では。



※当ブログに掲載されている内容は、個人的見解に基づくものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではありません。当ブログの記事に基づいて投資を行い損失が発生した場合にも当方は一切の責任を負いません。投資はご自身の判断と責任で行って頂きますよう、お願い申し上げます。

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